年収1,000万のリアル事情

どんな人がどんな生活を送っているのか

それでは、より詳しく年収1000万円の実態、リアルについて紹介します。
まずは、そもそも年収1000万円を超えるような人がどの程度の数存在しているのか、ということについてです。
国税庁では年収の割合を調査し発表しているため、ここではこの調査を基準として紹介します。

国税庁による発表は年収100万円ごとに区切って発表されていますが、1000万円以上についてはより大きな区切りとなっています。
全体から見た場合、1000万円を超えている人は3.9%前後という結果となりました。
さらに、2500万円を超えている人については全体の0.2%と、かなり希少な存在であることがデータから分かります。

次に、男女のバランスについてです。
年収が1000万円を超えている男性は6.2%前後であるのに対して、女性は0.9%と、大きな差があることが分かりました。
男女平等参画社会への取り組みが始まってんからまだ20年前後であり、上位層に女性がそれほど多くなっていないことが、この年収の格差に大きく影響していると考えられます。
また、世界的、社会的な傾向として女性の社会進出が進んでいる現状ではありますが、国内の調査では「仕事をしない専業主婦」を望む女性の割合もかなり多く、世間的な風潮が実態にそぐわない状況である、ということも指摘されるようになってきました。

それでは、実際に年間の収入が1000万円を超えている家庭というのは、裕福なものなのでしょうか。
「年収1000万円超えの生活イメージ」の中でも紹介した通り、手取りとしては700万円から800万円前後ということになります。
効率的なことを考えると、累進課税の存在があるために「年収500万円」に比べて「年収1000万円」の方が「効率が悪い」存在であることが分かります。
手元に残る金額だけを見ると、そこまで大きな違いが生じないようになっているためです。

年収が高いと損をすること

それでは、年収が高いと損をするポイントというのは、累進課税だけではありません。
他にも、「児童手当」「高校無償化」というような、教育面における優遇を受けることができなくなる、というのも不利なポイントの一つとなります。
児童手当は年収が1000万円を超えている場合、6万円前後となります。
これが年収600万円の家庭に於いては18万円であり、3倍近い金額の違いがあることが分かります。

高校無償化に於いても同様に大きな違いが生じます。
公立高校の場合、年収が1000万円を超えている場合には11万円近い金額が教育費として年間必要になりますが、年収600万円の家庭では全く掛かりません。
これらのことも考えると、年収1000万円が必ずしも有利とはいえない事がわかります。