大手出版社社員

出版物の制作と広告を行う営業職

大手出版社社は紙媒体の出版物が衰退期にあることもあり、斜陽業種と言われています。
実際老舗の出版社がここ10年ほどで軒並み廃業や倒産などの憂き目にあっており、このままでは価値の高い出版物を保護していくことが難しくなるのではないかという危機感も持たれています。

しかし一方で地方の中小出版社が危機的状況にあることとは逆に、大手出版社に出版業務が集中するという現象も起こっています。

出版不況と言われている現在においても、全体の79.2%にあたる518社の出版社が黒字経営(2013年度時点)を達成しており、いかに紙媒体だけに頼らない経営モデルを作っていけるかということが問われています。

日本の出版社の売上高のトップ5は集英社、講談社、小学館、角川書店、日経BPとなっています。
トップ3は言わずとしれた週間少年漫画誌を扱う会社であり、角川書店はライトノベルを中心としたマルチメディア展開で知られており、日経BPはビジネス書などで数多くのベストセラーを有しています。

出版社としての力量が問われるのは、いかに優秀なコンテンツを自社に呼び込み、それを適切に世間に売り込んでいくかという部分です。

大手出版社の社員の多くはそうした有名作家とのコネクションが強く、広告代理店とも密接な関係のもと高収入の業務に従事できるようになっています。

年収1000万円超えも接待費も膨大

大手出版社社員の中でも特に高収入を得ているのは「アカウント・エグゼクティブ」と言われる営業職です。
これは社内の制作部門と広告主である企業を結ぶ営業職であり、出版が決まった書籍に対し予算・企画・内容編集・進行管理といったものを全て行っていきます。

新たに書籍を出版する場合、まずコンテンツを提供してくれる作家や研究者、芸能事務所などといったところと交渉をし、そこでどういった内容にするかという企画を立てていきます。

内容が決まったら次に宣伝広告をするためのスポンサーを集めたり、広告を依頼するための打ち合わせをしていきます。

出版社として勤務をしているものの、業務内容の多くは接待などのコミュニケーションで、出版予定の書籍について適切なプレゼンテーションをする能力が問われます。

広告主や有名作家、芸能人や有名人と接触する機会も多く、業務のほとんどが接待であるという人も珍しくありません。

コミュニケーション能力と、世間のトレンドを読む能力が求められる仕事ですが、有力者に気に入られることによりどんどん新しい出版事業を引き受けることができ、収入もうなぎのぼりになっていきます。

ただ出版社の文化的風習として、プライベートとの境目が薄く深夜でも仕事や接待をするということもよくあります。